医療の現場で見直されつつある看護観について

業務のマニュアル化を進めることによって、患者に対して一定水準以上のサービスを提供できるようにすることは、医療現場では常識化してきた。
看護師の作業もマニュアルに従って行えば良いものが増えていて、患者の対応方法すら明文化されている現場もある。
とはいえ、看護業務が作業がマニュアル化され、無難な対応をいつでもできるようになることは仕事の効率化には役立つかもしれないが、看護師がそれぞれに看護観を持って働かなくなることには、弊害も生じるだろう。

看護師が看護観を持たなくなると、まず二つの弊害が起きる可能性がある。
一つ目は、看護師が仕事のやりがいを見失う原因になってしまうかもしれないということだ。
看護師が機械的に作業をするだけになってしまうと、自分だからこそできる仕事という認識を失ってしまい、仕事への意欲も低下してしまう。

それから、二つ目は、患者への個別対応ができなくなってしまうということだ。
個別医療が求められている中で、これは大きな問題である。
したがって、最近では、看護観を持つ看護師を重宝するべきだという声が上がってきており、面接などでも看護観を問う医療機関が増えてきているようだ。
そのため、看護師が転職をする際には、患者に接するときに大切にしたいことや、看護師として働く上で譲れない信念を予め整理して、それらを看護観という形で自己アピールにつなげたり、現場での仕事に活かしていくことが大切になってきている。